いわゆる「偽装質屋」について

2013年06月24日
総量規制や上限金利引下げの改正貸金業法が完全施行される平成22 年6 月頃から九州を中心に質屋営業の許可は受けているものの、無価値あるいはほぼ無価値な物品を預かって金員を貸し付ける業者が出現し、全国でこの相談が増えてきているようです。
 
質屋には特例高金利として年109.5%の金利が認められていますが、貸金業者は利息制限法の上限金利(15~20%)を超えての貸し出しはできませんので、改正貸金業法の完全施行により撤退する貸金業者が相次ぐ中、一部業者がこの高金利に着目して貸出を行っているようです。
 
通常の質屋のように担保価値のあるものを預かっているわけではなく、多くの場合何でもよいから持ってきてという文句で、壊れた時計や婦人雑誌の付録などといった価値のないものを預かっており、このため質流れの扱いをしない(無価値なモノであればできるはずもないですよね。)ので、顧客は、従来の日掛け金融のように、元利金の取り立てを受け続けることになり、日々の生活を維持するため延々と切り替えをせざるを得なくなるわけです。
 
この結果、貸金業法で認められている以上の高利を支払い続け、生活困窮の度を深めていくことになってしまうわけです。
また、公的給付を受給している顧客に対しては、給付を受ける銀行口座に関し自動振替の手続をさせ、実質的な年金担保貸付を行っているのです。
ちなみに、質屋営業法で高金利が認められているのは、質物の鑑定に高い技術が必要なことや、質物の保管に空調などコストがかかるためとのこと。
 
問題点として、
質屋営業法1 条には、「この法律において「質屋営業」とは、物品を質に取り、流質期限までに当該質物で担保される債権の弁済を受けないときは、当該質物をもってその弁済に充てる約款を附して、金銭を貸し付ける営業をいう。」とあります。
ここで、「質物をもってその弁済に充てる約款」とは、質物で担保される債権に質物が代物弁済に供され(=質流れ)、債権が消滅する約款ということと考えて良いでしょう。
全国質屋組合連合会のHP にも、「貸付金の請求はありません。期限内に返済ができない場合は、
預けた品物は質流れしてしまいます。この場合、貸付融資額の返済義務はなくなり、質屋からの返済
請求もありません。」と明示されています。
これにつき、大阪高裁昭和27 年6 月23 日判決では、「質屋営業法第1 条によれば質屋営業とは物品(有価証券を含む)を質に取り流質期限までに当該質物で担保される債権の弁済を受けないときは当該質物をもってその弁済に充てる約款を附して金銭を貸し付ける営業をいうのであるから、無担保又は無担保に等しい扱いを以って金銭を貸付ける行為は質屋営業の範囲を超えるものというべきである。」と判示していることからも明らかなように、いわゆる「偽装質屋」の実態は無登録で貸金業を行うヤミ金です。
 
このような「偽装質屋」は絶対に利用しないようにしてください。
 
 
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